新宴なるesportsの世界

世間的にまだ認知の低いesportsについてわかりやすく、でも奥深い世界の一端を説明できればと思っています。

esportsを盛り上げる関係者 - その3

今回はesportsで実は最も目立つであろう実況・解説者と最も目立たない大会運営の二つを関係者として紹介したいと思います。

 

実況・解説者

実況・解説者はどのスポーツシーンでもお馴染みなので仕事内容については説明する必要もないと思います。しかしながら、現時点のesportsでは選手よりも放送中の露出が高いため、ファンからの人気も獲得しやすい職種です。

 

実況・解説者のモチベーションとして、よりわかりやすく、より面白くesportsを視聴者に伝えたいという純粋な思いを持つ人が多いです。実況・解説者としてesportsに関わっていくには陰で相当な努力が必要なので、モチベーションをしっかりと持たないと続かない状況です。選手の練習量などは割と話題となりますが、実況・解説者の勉強量はあまり話題にならないです。しかしながら、esportsの主なタイトルは世界レベルで普及しているゲームであり、海外のesportsシーンを勉強しておかないと日本の選手のプレーの説明がつかないので、実際放送に携わっていない時も強豪国でのプロシーンを常に見て勉強しています。

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                                                                                                          Copy right: Morgan Linton

 

実況・解説者のメリットとしては、その露出の高さやチームに属さない中立性からesportsだけでなくゲーム番組やイベントなどでの起用が多くなり、そこからのファンとのつながりを多く持てる点があげられます。一方で、悩める点としては、どのように収入を稼ぎ、継続してパフォーマンスを高めていくかにあると思います。現状ではesportsがまだ勃興期ということもあり、安定した収入を稼ぎだしている実況・解説者はほんの一部にしかすぎません。

 

実況・解説者については起用する側にも悩みは存在します。それは、マス受けする実況・解説者とそのゲームのコミュニティ受けする実況・解説者に乖離がある点です。多くの場合、実況・解説者はコミュニティから支持されているという理由から、そのゲームの配信者などが起用されることが多いです。しかし、彼らはアナウンサーなど喋りのトレーニングを専門に受けたわけではないので、話の仕方や発音などがマス受けするプロのレベルではない人が多いです。それではマス受けするためにプロのアナウンサーや有名人などを持ってきたらいいかというと、そのゲームを本当に理解したうえで喋っていないとコミュニティからの批判が強く出るので、そういったプロの起用もできない。実況・解説者のキャスティングは主催者や大会運営にとっても大きな悩み事です。

 

大会運営

大会運営とはなんでしょうか。大会運営はステージや控室の会場設営からチームへの連絡、試合のモニタリング、ルール違反があった場合への対処など、多岐に渡る業務を行っています。主催者が大会運営を行うケースもありますが、多くの場合外部業者に委託しています。理由としては、労働集約的な業務が多いため、主催者が抱えこむよりもイベント運営会社などに委託するほうが効率がいいためです。

 

大会運営を請け負う業者側のモチベーションは、ビジネスであるが、そこにいるスタッフを見ると「esportsの真摯な大会としての盛り上げに関わりたい」という人が多いです。ビジネスとしては労働集約的であり大きな利幅を得ることは難しいですが、特定esportsタイトルの運営ノウハウが蓄積できると安定したビジネスとなってきます。

 

大会運営側のメリットとしては、現時点ではesportsを運営できる業者が少ないので先行者利得が想定でき、今後esports市場が大きくなってきたときに更なるビジネスの拡大が見込める点くらいです。一方で悩みとしては、人材の定着がなかなか難しいことです。市場の勃興期であり、労働集約的で労働時間や給与などの待遇面での限界があることから、有能な人材が他社からの引き抜きにあいやすい。実際に運営のノウハウを持ち、スタッフを束ねて実行までできる人材は他社からも魅力的です。そういった人材をいかに会社に引き留められるかが大会運営成功の鍵となってきます。