新宴なるesportsの世界

世間的にまだ認知の低いesportsについてわかりやすく、でも奥深い世界の一端を説明できればと思っています。

esportsを盛り上げる関係者 - その4

今回で関係者紹介としては最後となるが、esportsに欠かせない映像制作、スポンサー、メディアの紹介をしようと思います。

 

映像制作

映像制作はesportsの要と言っていい仕事です。伝統的なスポーツに比べて動きの少ないesportsの選手映像、情報量の多いゲーム画面をどうダイナミックにわかりやすく、かつ、共感を生む映像にするか、これら全てが映像制作にかかっています。

 

情報量の多いゲーム画面と書きましたが、実際にストリートファイターの画面を見てもらっても非常に情報量が多いことがわかります。下の画面で上から選手名、ゲーム取得数、体力ゲージ、残り時間、キャラクター、下に2種類のゲージのチャージ量が入っています。

Image result for ã¹ããªã¼ããã¡ã¤ã¿ã¼ï¼

                              Copyright: Capcom

これがチーム戦のLoLであればさらに増えていきます。詳細は省きますが、下の画面でも上下左右、また右下、左下にゲーム関連の情報があります。これは初見の人にはハードルが高くなります。

f:id:esportsexplorer:20180725205454p:plain

                                                                                               Copyright: OGN, Riot Games

一般的にアニメなどのコンテンツを制作する側はいかに情報を絞り込んで伝えたいことを伝えるかに腐心するので、esportsとしての映像制作がいかにチャレンジングかを理解してもらえるかと思います。ちなみに、以下はつい最近までワールドカップが行われていたサッカーの中継画面です。左上にスコアと時間があるだけのシンプルな画面です。

Image result for ãµãã«ã¼ä¸­ç¶

                              Copyright: FIFA

 

映像制作にかかわる会社・人のモチベーションはesportsを普及させて、ビジネスにしたいという思いが大きいだろうと感じます。前回説明した大会運営と似ていますが、違いとして上記にあげた新しいチャレンジに対して向き合い解決していくことをモチベーションとしている人もいます。

 

映像制作業者・人のメリットとしては、既存のテレビ局などが経費削減などを進める中で、新しく出てきたホワイトスペースであり、新たなビジネスを獲得できることです。一方で、悩みどころとしては、ステージや人員、金銭面などの制約条件が多く、課題に対して有効な解決策を図ることが現状では難しいことです。中国や韓国などのesports先進国では専用ステージや優秀なスタッフを揃えられるようになっており、今後の日本でのesportsの発展に伴ってこれらの課題も解決される面が出てくることを望みます。

 

スポンサー

esportsの今後の発展に欠かせないのがスポンサーとなります。esportsは現状10代から20代の男性に刺さるコンテンツなので、その年代を顧客とする製品・サービスを展開している企業にとってスポンサー価値は高くなります。実際、スポンサー事例が豊富な海外を見てみると、欧米ではミレニアル(1980年代以降に生まれ、デジタルの世界に早い段階から触れている世代)へのマーケティング活動の一環としてesportsへのスポンサーなどが語られることが多い状況です。残念ながらこの層は日本では団塊ジュニア後の人口ボリュームとして多くないので、ターゲットとして重視されていないところにスポンサー獲得の難しさがあります。(いいか悪いかは別として日本で注目を浴びているのは「シニア」です)

 

スポンサーのモチベーションとしては、まさにターゲットセグメントへの格好の露出が得られることにあります。esportsが発展している国では、若者向けに象徴的な高級車(メルセデスBMW)がスポンサーとして入ってきています。一方でスポンサーの悩みとしては、まだesportsが新しく、社内での承認を取ることが非常に難しいことです。一定の金額を超えたスポンサーをする場合は会社のそれなりの機関(例えば役員会)の決済を取ることになりますが、それらの人たちにesportsを説明し、理解してもらうことは相当に難しいようです。

 

結果として、日本での今のesportsのスポンサーは主にPC・ゲーム周辺機器の会社からのスポンサーが多いです。

 

メディア

esportsのメディアには大きく分けて二種類があります。それは放送と記事です。ただし、esportsはライブコンテンツとして消費される側面が大きいので、今回は放送に特化してメディアとして説明します。

 

esportsの放送は通常WebのStreamingで行われます。世界でも一部の国や地域ではテレビ放送を行うなどの違いはありますが、大多数の国ではWeb Streamingである。Web Streamingのプラットフォームで有名なところで言うと、TwitchやYoutube Liveです。Web Streamingにはテキストで書き込めるコミュニティ機能があり、一部の視聴者はそこで視聴者参加型の体験を楽しんでいます。ただ、視聴者数が多くなってくると投稿が多くなりすぎ投稿内容を追い続けるのは不可能であり、見えないようにしてみている視聴者もそれなりに多いようです。

 

Streamingサイトがesportsに力を入れるメリットは何といっても集客効果です。esportsの放送により視聴者を集め、そのまま選手が個人配信をする場合にも視聴者をサイトにつなぎとめるという、好循環モデルが作れます。一方で、ゲームタイトルによってはesportsがなくとも個人配信者が莫大な数の視聴者を集めることもあり(FortniteのNinja)、今後の視聴行動の動向を把握する必要があります。

 

悩みどころとしては、放映権をどう設定するか、また、多くのStreamingサイトが個人配信者のプラットフォームを主な収益源としている中で、esportsを放送することは個人配信者の視聴者数に悪影響を与える可能性があることです。

 

以上、簡単に関係者の説明をしてきましたが、書いたこと以外で質問などあればコメントで聞いてください。