新宴なるesportsの世界

世間的にまだ認知の低いesportsについてわかりやすく、でも奥深い世界の一端を説明できればと思っています。

esportsってなんだ?

はじめまして、ブログに訪問してくださってありがとうございます。このブログでは最近ちょっと聞かれるようになった、でもまだ馴染みのないesportsの深淵なる世界について徒然なるままに書いていこうと思います(タイトルはあえて新しい宴として新宴としています)。

 

esportsとは?

esportsっていう言葉を最近テレビなどでよく取り上げられるようになりました。関係者のここ数年の努力の成果でもあり、いろいろなゲーム会社がesportsと称したイベントや大会を開くようになってきた。でも、esportsってなんだろう?エレクトロニックスポーツ(Electronic Sports)の略でesportsと呼ぶそうだ。ゲーム大会とは違うのだろうか?

 

結論から言うとゲーム大会です。それじゃ、昔からやってたじゃんと言われそうですが、違いは「プロ」選手の大会の盛り上がりです。esportsと巷でよく盛り上がりを含めて言われているのはこのプロシーンのことです。コミュニティなどで開かれている大会も広い意味ではesportsの範疇だと思いますが、この記事の中ではesports=プロシーンとして書いていきます。

 

じゃあ、プロとアマチュアの大会って何が違うのでしょうか?厳密な区分けは難しいかもしれませんが、一番大きな違いはアマチュアの大会は選手のために、プロの大会はファンのために開かれることだと思います。例えば、プロシーンではステージでスポットライトを浴びながらプレーしますが、あれは選手としてはプレーしやすい環境ではありません(慣れてくると気にならなくなるそうです)。ただし、ファンに見せることを考えればスポットライトは必須です。

 

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                                                                                                                                 Copyright Riot Games Inc

 

大会スケジュールについても、ファンが見やすいように夜遅めの時間が設定されていたりします。このようにプロシーンは魅せることを中心にスケジュール、ステージ、放送がプランされていきます。アマチュアの大会が観客や放送の視聴者に対して魅せる視点が欠けているというわけではなく、何を最重要な要素として持ってくるかだと捉えてください。

 

ゲームがesportsに変わるとき

プロとアマの違いはあることが分かったとして、次に気になるのは数多のゲームの中でesportsとなりうるのはどんなタイトルか?

 

これは非常に難しい分けなのだが、提供する本質的な価値が変わったらesportsとなると考えるといいと思う。

  • ゲームの本質的価値=達成感
  • esportsの本質的価値=共感

 

いきなり、達成感や共感と言われてもイメージが来ないかもしれませんが、自分がやってきたゲームを振り返ると、ゲームは達成感を得ること(与えること)を目的にしていることがわかります。例えばレベルアップ、ステージクリア、ハイスコア、など達成感をどう提供するのかが最重要ファクターでとなっている。

一方でesportsはプロの選手達に対する共感こそが重要です。勝負の世界では当然負けることもでてきます。実際には負けても応援してくれるファンこそがチームとしての資産の基盤なのです。達成感がなくとも共感を感じる一例をあげると、例えば高校野球が分かりやすいのですが、多くの人は選手が涙を流しながら甲子園の砂を集める光景を共感をもって見ているのではないでしょうか。まさに心を打つシーンです。esportsはゲームを使っていますが本質的な価値として視聴者に提供しているのは達成感ではなく共感です。下の写真はesportsタイトルとしても有名なLeague of Legendsの世界大会の決勝戦で敗れたチームが対戦ブースから勝利チームへの祝福を茫然と見ている姿です。右下には泣き崩れている世界最高と言われていた選手が写っています。この写真は決勝戦後の象徴的な写真としてメディアでもよく使われ、多くの人の共感を呼びました。

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それではプレイヤー同士が戦っていて共感を生むゲームとはどんなものでしょうか?それは技の磨きこみ、戦略的な選択、チームワークなどの要素を持つゲームです。逆にesportsに向かない、共感を生みにくいゲームとしては、スーパーパワーがあるキャラを保有していれば勝てるといったタイプは難しいです。この点はゲーム開発側の課題であるのかもしれない。

 

実はこの点が、esportsとなりうるタイトルの二つ目の要件であり、それは絶対的な解のない、バランス調整が必要なゲームとります。先に述べた通り、スーパーパワーを持ったキャラの存在が勝敗を分けてしまうのであれば、その絶対的な解により視聴者が楽しめる息の詰まるような勝負は提供できない。ただし、プロプレイヤーともなれば、ゲームの情報を理解し、開発側が意図していない絶対的な解を見つけるのはお手の物です。そのため、開発側は終わりなきバランス調整をしなくてはならないのです。実際、esportsのタイトルとなっているゲームでは新キャラを出したものの、予想より強すぎるためにプロの競技シーンでは使用不可とすることも頻繁にあります。

 

このようにesportsとなりうるタイトルは、

  1. 技の磨きこみや戦略性、チームワークなどで視聴者に共感を与えられる
  2. 勝敗に絶対的な解のない終わらないバランス調整が行われる

の2点を満たしたゲームとなります。