新宴なるesportsの世界

世間的にまだ認知の低いesportsについてわかりやすく、でも奥深い世界の一端を説明できればと思っています。

esportsとゲームのコミュニティとの関係

esportsとゲームコミュニティの関係

ゲームのタイトルを盛り上げる鍵として近年コミュニティの役割が注目されています。コミュニティとは、そのゲームを楽しむ人だけでなく、実況や二次創作物を楽しむ人も含めてそのゲームIPを楽しむ人全般を指します。

PCだけでなくスマホでのオンラインゲームが主流となるにしたがって、ゲームのIP保有会社だけでなくプレイヤー側からも主体的にゲームを盛り上げる活動が出てきています。これをゲームのIP保有会社が最大化してゲームの活性化を図るのがコミュニティ施策です。

 

ゲームのコミュニティの中核をなすのはそのゲームを楽しむコア層のうち、特技や労力を惜しまない人たちです。例えば、オンライン・オフラインを問わずにイベントを企画・運営する人、ゲームに関する情報をまとめて共有したり、自分のプレイや解説を配信や動画としてアップロードしたり、コスプレをしたり絵を書いてアップしたりと多様なコミュニティへの貢献者がいます。以前はこの手の活動に著作権の問題を意識してIP保有会社がサポートをすることが少なかったのですが、これらを積極的に活用してゲームを盛り上げていく事例を見るにつれ、ゲームのIP保有会社の立ち位置も変わってきています。

 

ゲームのIP保有会社のコミュニティへの関わり方は濃淡があり、コミュニティとの関係を非常に重視する会社では、自社でのコミュニティイベントやまとめサイトへの情報提供にとどまらず、プレイヤーと開発陣がTwitter掲示板(海外ではRedditが有名)で直接ゲームの現状や今後の方向性について話し合う場合もあります。また、上記にあげたコミュニティ貢献者の応援プログラムを用意しているところもあります。これにより盛り上がっている感を出してコア層の継続率の向上やライト層も引き付ける鍵としていることが多い。

 

それではこのコミュニティ支援とesportsはどう関係するのか?実はesportsはこのコア層に対してレベルの高いプレイと対戦ドラマを提供することにより、コミュニティへエネルギーを注入することができます。esportsのコンテンツに対しての批評や仲間同士での観戦(ボイスチャットをつなげてのオンライン観戦と実際に集まってオフライン観戦があります)も彼らが盛り上がる大切な要素です。また、このコミュニティに対してチーム・選手は積極的に働きかけファンの醸成を図るべきですが、実際には狭い世界での人間関係など難しさもあります。ただ、成功している事例として、チームが選手第一の方針を打ち出してコミュニティからの共感を得たり、選手が積極的にTwitterやファンとの交流会に参加して人気を高めているケースがあります。

 

気を付けなければいけないのは、esportsの運営主体はコミュニティと一線を引かなければいけないことです。どのチーム、選手にも公正であるべき運営主体であり、開催日程や場所などもギリギリまで発表できないことが多い。これらの件でコミュニティの声に反応していると情報リークや公正さが疑われるケースに発展するリスクもあります。また、どのスポーツにもつきものですが、運営・チーム・選手に不祥事が発覚することもあり、その時に迅速かつ適切な処理を行わなければいけないのです。その過程の中では当然外に出せない情報も取得することになるので、esportsの運営としてはコミュニティから一線を引くべきだと考えます。コミュニティと積極的に絡むのはあくまでも主役であるチーム・選手に任せたほうがいいと思います。